vol.93 古さを活かす!リノベーションで大切なこと |空間デザイン 杜ノ輝 | 鹿児島県薩摩川内市
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vol.93 古さを活かす!リノベーションで大切なこと

杜ノ輝の神田です!

杜ノ輝が得意としているもののひとつに、リノベーションがあります。

最近特に増えてきているのが、中古住宅を購入されたご家族からご依頼をいただき、それを暮らしやすいようにフルリノベーションしてから入居されるパターンです。

リノベーションで大切なポイントは2つありますので、ご紹介していきますね。

■構造の状態を見極める

 

 

ひとつは構造の状態を見極めることです。最近のリフォームブームで、多くの建築会社・工務店がリフォームを手掛けるようになってきています。設備を新しくし、壁や床を貼り換えればキレイになりますし、間取りを変更すれば動線の改善もできます。しかし長く安心して暮らしていくためにはまず構造をきちんと確認することが何より大切。それには豊富な経験や知識、できることできないことを見極める眼が不可欠なのです。現場をキチンと見て必要ならば補強し、建物に生じている歪みを上手に調整しながら施工していかなくてはなりません。実際に工事がスタートしてからでないと確認できない場所もあります。なんとなく、リノベーションは新築より費用を抑えられるイメージがあるかもしれませんが、技術面で言えば、ひとつひとつの建物に応じて臨機応変な対応が必要。リノベーションの方が新築を建てるよりも高い技能レベルを要求される工事なのです。そのためリノベーションをされる際には、経験豊富で腕の良い職人さんがいらっしゃる会社を選ばれることが本当に大切です。

 

■既存のものをどう活かすか

さて建物の調査が終わり、リノベーションできる建物であることが確認されたら、次に大切なことは「既存の物を如何に活かすか?」ということです。

 

 

新築と異なりリノベーションでは、柱の位置などが既に決まっています。

配管や扉なども、予算次第では既存のものを利用することを検討しなくてはいけません。

そのようなことを聞くと、リノベーションは制限が多くて、思うような家づくりを楽しめないのではないか?とマイナスな印象を持たれるかもしれませんね。

確かに制限は出てきます。でもリノベーションにはリノベーションにしかない楽しみ方や強みがあります。

それは「あるものを活かす」という考え方です。今あるものを、せっかくあるのだから活かそう!という気持ちで知恵を絞ると、案外愛着が沸いたり、その家の歴史や個性として残ります。この楽しみ方は、ゼロからつくっていく新築にはありませんね。また、築年数の古い建物というのは、これはその家が建てられた時期にもよるので一概には言えないのですが、現在流通している一般的な木材よりも太くて質の良いものを使用していることがあります。

現在流通している木材は品種改良したり、機械で強制的に乾燥させるなど、早く製品になるために人の手が加えられています。そのおかげで安定的に木材が供給されているありがたい面もあるのですが、木本来の調湿機能や強度が損なわれた木材が流通していることも確かです。それに対し古い家の木材は、その木本来の育ち方でじっくりと年輪を重ねているので、木本来の強度を保ち、さらに経年するごとに強度が増していきます。築100年程の木材が一番強度が高い、なんて話もある位です。

 

■古いものをおしゃれに!それがリノベーションの魅力です

梁などの横架材も、今のようにまっすぐ製材されたものではなく、自然の太い木のうねりを活かした組み方をして使われていたりします。そのような木材の使い方、施工の仕方は熟練の大工職人による経験と技術の賜物。古い家はそれ自体が、現代よりもずっと高い技術を持った昔の職人による貴重な手仕事なのです。それらの木材が長い年月を経て色が変化した佇まいは味わい深く、和の古民家風だけでなく、例えばカフェ風やブルックリンスタイル、ビンテージ調の空間をつくるのにも良い仕事をしてくれます。古いからと隠してしまうのではなく、古い建物ならではのアドバンテージとしておしゃれに活かすことで、新築には出せない空気感が生まれたりするのです。

 

 

■制限があるからこそ楽しめるのがリノベーション

壊して希望通りの新しいものをつくるのも、もちろんステキな夢の叶え方です。

ただ、制限があるから夢がかなわないのではなく、考え方を切り替えたり工夫することで、当初の夢とは違うかもしれませんが、もっとよいものや愛着の沸くものが生まれる可能性もある。そんな気持ちで柔軟に受け止めることができれば、リノベーションを楽しみ心豊かに暮らすことも十分に可能だと言えます。